オウンドメディアとは?期待できる効果や事例をわかりやすく解説

オウンドメディアとは、自社で保有するメディアの総称です。認知度アップやブランディング、コンテンツの資産化、広告コストの効率化、人材採用の強化などさまざまな面でメリットのあることから、オウンドメディアを運営する企業が増えています。

この記事では、オウンドメディアについて具体的な役割からメリット・デメリット、成功事例までを詳しく解説します。

これからオウンドメディアを運営しようと考えている方や、運営中で効果を感じられていない方はぜひ最後までお読みください。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアは、企業や組織が自ら所有し、管理するメディアのことを指します。具体的には、企業のウェブサイト、ブログ、ニュースレター、ソーシャルメディアアカウントなどが含まれます。

オウンドメディアは、自社のメッセージや情報を直接発信できるため、広告など他のメディア(に依存することなく、自らのブランドや価値観を効果的に伝えることができます

オウンドメディアの主な特徴は以下の通りです。

  1. コスト効率:初期投資や運営コストはかかるものの、長期的には広告費を抑えながら効果的なマーケティングができるため、コストパフォーマンスが高いと言えます。
  2. SEO効果:質の高いコンテンツを継続的に提供することで、検索エンジンのランキングが向上し、自然検索からの流入が増えることが期待できます。
  3. 顧客との関係構築:オウンドメディアを通じて、顧客と直接コミュニケーションを取ることができるため、信頼関係の構築や顧客ロイヤルティの向上に寄与します。

オウンドメディアは、企業が自らのストーリーや専門知識を発信するための重要なツールです。これにより、ブランドの認知度を高めるだけでなく、顧客との深い関係を築くことができます。

オウンドメディアの重要性

オウンドメディアは、ブランドのメッセージを効果的に伝えるための強力なツールです。自社が完全にコントロールできるため、外部の広告プラットフォームやメディアに依存することなく、自社のタイミングと方法で情報を発信できます。

また、長期的にはコスト効率が高く、信頼性の高い情報源として、顧客との関係を強化し、ブランドロイヤルティを向上させることができます。

オウンドメディアを効果的に運用することで、ブランドの認知度を高め、新規顧客の獲得や既存顧客の維持に貢献することができます。

特にデジタル時代においては、消費者がオンラインで情報を収集し意思決定を行うため、オウンドメディアの重要性はますます高まっています。

オウンドメディアの役割

オウンドメディアは、現代のマーケティング戦略において欠かせない存在です。その役割は多岐にわたり、ビジネスの成長と発展に寄与します。

以下では、オウンドメディアの主要な役割について詳しく解説します。

見込み客の検索流入増加

オウンドメディアの重要な目的の一つは、検索エンジンからの流入を強化し、見込み客を獲得することです。

質の高いコンテンツを定期的に提供することで、検索エンジンのランキングを向上させ、多くの訪問者を自社のサイトに引き込むことができます。これにより、新規顧客の獲得につながります。

コンバージョンを促進する導線作り

オウンドメディアは、コンバージョン(CV)への導線を構築するための効果的な手法といえます。サイト訪問者を顧客に変えるために、適切なランディングページやフォームを設置し、購買やお問い合わせなどの行動を促す仕組みを整えることが可能です。

魅力的なコンテンツと明確な導線を組み合わせることで、コンバージョン率を高めることができます。

ブランドイメージの確立

自社のブランド価値を高めるためにも、オウンドメディアは有効です。企業のミッションやビジョン、製品やサービスの魅力を伝えるコンテンツを発信することで、ブランドの一貫性と信頼性を高めることができます。ブランディングの強化は、顧客のロイヤルティ向上にもつながります。

コンテンツの長期的資産化

オウンドメディアを通じて制作したコンテンツは、長期的な資産となります。質の高い記事や動画、ガイドなどは、一度作成すれば繰り返し利用できるため、時間が経っても価値を持ち続けます。

これにより、コンテンツのライフサイクルが延び、持続的なトラフィックとリードの獲得が可能となります。

広告コストの効率化

オウンドメディアの活用により、広告費を大幅に削減することができます。自社でコンテンツを制作し、配信することで、外部広告に依存せずにプロモーションを行うことが可能です。

特に、長期的な視点で見た場合、オウンドメディアは費用対効果の高いマーケティング施策となります

人材採用の強化

オウンドメディアは、採用活動にも役立ちます。自社の文化や価値観、働き方に関するコンテンツを発信することで、企業にマッチする人材を引き付けることができます。求人情報だけでなく、社員インタビューやオフィスツアー動画などを通じて、求職者にリアルな会社の姿を伝えることができます。

これらの目的を念頭に置いてオウンドメディアを運営することで、ビジネスの成長と発展を支える強力なツールとして活用することができます。

オウンドメディア運営のメリット

オウンドメディアの運営には、多くのメリットがあります。ブランド認知の向上、顧客との信頼関係の構築、SEO効果による検索エンジンでの順位向上、そして長期的なコスト削減など、多岐にわたる効果が期待できます。

以下では、それぞれの効果について詳しく解説します。

ブランド認知の向上

オウンドメディアを活用することで、自社のブランド認知度を効果的に高めることができます。

定期的に有益なコンテンツを発信することで、ターゲットオーディエンスに対する露出を増やすことが可能です。これにより、ブランドのメッセージや価値観を広く伝え、多くの人々に認識してもらうことができます。

例えば、ブログ記事やソーシャルメディア投稿で業界の最新トレンドや製品の使い方を紹介することで、読者やフォロワーに「このブランドは信頼できる情報源である」と感じてもらうことができます。

さらに、定期的な情報発信により、ブランドとの接触頻度が増え、自然とブランドの存在が認識されやすくなります。

顧客との信頼関係の構築

オウンドメディアは、顧客との信頼関係を築くための強力なツールです。自社のウェブサイトやブログで提供するコンテンツが価値あるものであれば、読者や顧客はその情報を頼りにするようになります。これにより、ブランドに対する信頼感が生まれ、長期的な関係を築くことができます。

例えば、製品の詳細なレビューや使い方ガイド、成功事例の紹介など、具体的で役立つ情報を提供することで、顧客は「このブランドは私たちのニーズを理解し、サポートしてくれる」と感じます。

また、コメントやフィードバックに対して迅速かつ丁寧に対応することで、顧客とのエンゲージメントが深まり、信頼関係が強化されます。

SEO効果による検索エンジンでの順位向上

オウンドメディアの運営は、SEO(検索エンジン最適化)においても大きな効果を発揮します。検索エンジンは、質の高いコンテンツを提供するサイトを評価し、上位に表示する傾向があります。

期的に更新されるブログ記事やウェブサイトのコンテンツは、検索エンジンにとって有益な情報と見なされやすく、検索結果の順位向上に繋がります

例えば、特定のキーワードを狙ったブログ記事を作成することで、検索エンジンからのトラフィックを増加させることができます。また、内部リンクの適切な設置や、メタデータの最適化など、SEOに関する技術的な要素もオウンドメディアを通じて実施することで、さらなる検索順位の向上が期待できます。

長期的なコスト削減

オウンドメディアは、一度構築すると長期的なコスト削減に貢献します。ペイドメディア(広告など)と比べて、初期投資がかかるものの、コンテンツの作成と管理を自社で行うことで、長期的には低コストでの運営が可能です。広告費用が発生しないため、予算を効果的に活用できます

例えば、自社のブログやウェブサイトを通じて、製品やサービスのプロモーションを行うことで、広告費を削減できます。また、オウンドメディアを通じて得た顧客からのフィードバックを基に、マーケティング戦略や製品改善に活かすことで、無駄な費用を抑えつつ、効果的な運営が可能となります。

オウンドメディアの効果を最大限に引き出すためには、継続的なコンテンツ更新と戦略的な運営が不可欠です。ブランドの価値を伝え、顧客との信頼関係を築き、検索エンジンでの可視性を高めることで、長期的な成功を収めることができます。

オウンドメディア運営のデメリット

ここまでオウンドメディアの利点について述べてきましたが、実際に始めるにあたっては、注意すべきデメリットも存在します。

専門知識と運営ノウハウが必要

オウンドメディアを成功させるためには、コンテンツ制作スキル、SEO対策、ウェブサイト制作、ディレクションなど幅広いスキルが求められます。

メディア運営の経験がない場合、何から始めてどのように進めるべきかが分からないこともあるでしょう。このような状況では、経験豊富なメディア担当者を採用することも考えられますが、そのような人材は転職市場で見つけにくいケースが多いです。

そのため、外部への委託がおすすめです。外部の代行業者と協力しながら運営を進めるなかで、自社にノウハウを蓄積していくことが現実的なアプローチといえます。

効果を実感するまでに時間がかかる

ノウハウを蓄積するのにも時間がかかりますが、特に辛抱が求められるのは「効果を実感するまでの時間」です。広告費を抑えてユーザーを呼び込むというメリットの裏には、オウンドメディアの効果が現れるまでには時間がかかるという現実があります。

一般的に、記事を作成して検索結果で上位を獲得するまでに一般的に4ヶ月から1年程度かかるといわれています。

オウンドメディアを運営する意思決定者や企業の代表者は、長期的な目標設定を行う必要があります

4. オウンドメディアの成功事例

オウンドメディアの運営に成功した事例を学ぶことで、効果的な戦略や実践的なアプローチを理解することができます。

以下に、国内の成功事例を紹介し、それぞれの具体的な戦略とその結果ついて詳しく解説します。

成功事例1:サイボウズ式

サイボウズは、自社のオウンドメディア「サイボウズ式」を通じて、企業文化や働き方改革に関する情報を発信しています。このメディアは、特に働き方に関する革新的な取り組みや社内制度を紹介することで、サイボウズのブランドイメージを強化し、多くの読者を引き付けています。

結果として、企業の認知度向上とともに、求職者に対する魅力を高めることに成功しています。

サイボウズ式の戦略と結果

  • 戦略: 社内文化や働き方改革に関する記事を中心に、独自の取り組みを発信
  • 結果: ブランドの認知度向上、求職者に対する魅力の強化

成功事例2:となりのカインズさん

ホームセンターのカインズは、オウンドメディア「となりのカインズさん」を通じてDIYやホームインテリアに関する記事を発信しています。

読者に対して具体的なDIYプロジェクトや製品の活用方法を紹介することで、ユーザーの関心を高め、実際の来店や購買行動に結びつけています。

これにより、顧客とのエンゲージメントを深め、売上の増加にも寄与しています​。

となりのカインズさんの戦略と結果

  • 戦略: DIYプロジェクトや製品の具体的な活用方法を紹介する記事を提供。
  • 結果: ユーザーエンゲージメントの向上、店舗訪問と売上の増加。

成功事例3:メルカン(mercari)

メルカリは、自社のオウンドメディア「メルカン(mercari)」を通じて、企業文化や働き方、最新のテクノロジーに関する情報を発信しています。社員インタビューやプロジェクトの裏話など、内部の情報を透明に伝えることで、企業の魅力を発信し、求職者に対するブランド価値を高めています。これにより、メルカリの認知度向上と優秀な人材の採用に成功しています​。

メルカンの戦略と結果

  • 戦略: 企業文化やプロジェクトの裏話に焦点を当てたコンテンツを提供し、透明性を確保
  • 結果: 企業の認知度向上と優秀な人材の採用

これらの事例から学べるのは、オウンドメディア運営の成功には、顧客のニーズに応える質の高いコンテンツ提供、ブランドイメージの一貫性、そしてユーザーとのエンゲージメント強化が重要であるということです。これらのポイントを押さえて、戦略的にオウンドメディアを運営することで、効果的な結果を得ることができます。

オウンドメディア運営でよくある失敗例とその対策

ここからは、オウンドメディア運営でよく見られる失敗事例を挙げ、それに対する対処法を紹介します。

オウンドメディアの立ち上げを検討している企業の経営者やマーケティング責任者や運営中で結果が出ていない担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

コンセプトが不明確

オウンドメディアの運営を成功させるためには、まずしっかりとしたコンセプトを決めることが重要です。「何となく良さそうだから始めた」という理由ではなく、オウンドメディアを通じて何を達成したいのかを明確にしましょう。

コンセプトが明確であれば、表現方法や施策の優先順位を決める際の指針となり、ブレのない運営が可能になります

まずはオウンドメディアのコンセプトをしっかりと定めてから始めましょう。一度設定したコンセプトは簡単に変更しないように、一貫性を持たせることが重要です。

目標を設定せずに始める

具体的な数値目標を設定せずにオウンドメディアを始めると、成功や失敗の判断が難しくなります。まずは、自社が目指すべき方向を明確にし、具体的な数値目標を設定しましょう

初期段階では、記事の本数を目標に設定し、次第にPV(ページビュー)数やユーザー数、UU(ユニークユーザー)数などのGoogle Analyticsで確認できる数値に目標をシフトしていきます。

最終的には、コンテンツ経由のコンバージョン数や率を目標に設定することが理想です。立ち上げ初期は、運営体制を整えることを目標とし、定量目標を記事の公開本数や納品本数に設定すると良いでしょう。

コンテンツ数が不足している

オウンドメディアを始めたとしても、コンテンツ数が少ないと効果が現れるまでに時間がかかり、更新を続けるモチベーションが低下する可能性があります。

一定数以上のコンテンツが必要な理由は二つあります。

まず、検索エンジンからそのジャンルの情報を提供するサイトとして認識されるためです。

次に、コンテンツが増えることで、人気コンテンツの傾向が分析できるようになります。

質の高いコンテンツを見極めるためにも、最初は量を重視することが重要です。例えば、1年から2年間で100本の記事を公開することを目標に運営しましょう。

ユーザーニーズの把握不足

いくらコンテンツ数を増やしても、ユーザーが求めるテーマに沿ったものでなければ、成果は期待できません。

ユーザーニーズを定量的に把握し、それに基づいたコンテンツを作成することが重要です。Googleキーワードプランナーなどを使って、定量的にニーズのあるキーワードを調査し、データを基にコンテンツを企画することが重要です。

社内の協力不足

オウンドメディアの運営には社内の協力が欠かせません。コンテンツ作成のリソースが不足していたり、成果がすぐに出ないために理解が得られないこともあります。

この問題を解決するためには、オウンドメディア運営の意思決定者が社内全体に何度も周知し、協力を得る姿勢を示すことが重要です。もし現在の状況で社内協力が難しい場合は、外部委託も一つの選択肢です。

まとめ

オウンドメディアは、自社のブランドメッセージを効果的に伝え、ブランドイメージの確立に大きな役割を果たします。発信を通して、顧客との深い関係を築くために重要なマーケティング施策の一つとして注目されています。

成功するためには、明確なコンセプトと目標設定、継続的なコンテンツ更新、ユーザーニーズの定量的な把握、そして社内の協力が不可欠です。デメリットとして、専門知識の必要性や効果が出るまでの時間が挙げられますが、これらの課題をクリアすることで、ブランドの認知度向上、SEO効果による検索順位の向上、コンテンツの資産化といった大きなメリットを享受することができます。

成功事例を参考にしつつ、戦略的にオウンドメディアを運営することで、ビジネスの成長を支える強力な武器となるでしょう。

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